普通養子縁組って何?

 

普通養子縁組の目的の変遷

 実の親子ではない者の間に人為的に法的な親子関係を創り出し、お互いに扶養の義務と相続する権利を持たせる制度を養子縁組制度といいます。この養子縁組制度は、子のいない家の家名や財産の承継、親のいない子の養育、配偶者の連れ子に相続権を与える等の目的で用いられてきましたが、その創設ははるかに古く、明治時代以前から存在したといわれ、制定当初の民法典にも規定されていました。ただし、その利用目的は時代とともに変わってきて、創設当初はおもに家族共同体の絶滅を防ぐために利用されてきましたが、その後時代とともに、親の個人的利益のために、そして家庭に恵まれない子に家庭を与えるためにと、その利用目的が変遷してきています。養子縁組制度は「家のための養子」→「親のための養子」→「子のための養子」へと発展してきたといえます。子の養子縁組制度は、後に説明する「特別養子縁組制度」と区別するために「普通養子縁組制度」といいます。

普通養子縁組の成立と効力

 普通養子縁組は、当事者(養親と養子)のお互いの合意と、役所の戸籍窓口への届け出によって成立します。ただし、合意と届出があれば誰でも自由に養子縁組ができるというわけではありません。その成立には一定の要件が必要です。

 【普通養子縁組の要件】

  ①養親となる者は成年者でなければなりません(未成年者は養親になれません)。

  ➁自らの親や祖父母、年上者を養子とすることはできません。

  ③後見人と被後見人との間の養子縁組には家庭裁判所の許可が必要です。

  ④15歳未満の者を養子とする場合は、養子となる者の法定代理人(親権者や未成年後見人など)の同意が必要です。

  ⑤未成年者を養子とする場合は、家庭裁判所の許可を得なければなりません。ただし、配偶者の実子を養子とする場合は不要です。

  ⑥配偶者のある者が未成年者を養子にする場合は、夫婦そろって養子縁組をしなければなりません(2個の縁組の成立)。ただし配偶者の実子を養子にする場合は不要です。

 【普通養子縁組の効力】

 養子は縁組の日から養親との間で実子と同じ親族関係を築くことになります。縁組の日とは縁組届を提出した日です。実子と同じ親族関係を築くといっても、養親と養子の血族との間では親族関係は生じません。例えば、養子になる前に誕生している養子の子と養親との間では親族関係は生じませんし、養子の実父母と養親との間にも親族関係は生じません。例えば実子Y子を持つA女とB男が結婚した場合、B男とY子が養子縁組をしない限り、Y子にB男の遺産の相続権は発生しません。ただし、養子縁組後に誕生した養子の子と養親との間には孫・祖父母の親族関係が形成されます。一方、普通養子縁組は養子の親族関係には全く影響を及ぼしません。養子と養子の実父母との間の血族関係は継続します。したがって、養子は実父母からも養父母からも相続できることになります。

普通養子縁組の解消

 【縁組解消の種類】

養子縁組の解消を離縁といいます。離縁は離婚と同様、協議離縁裁判上の離縁(協議離縁、調停離縁、審判離縁、和解離縁、判決離縁)の方式があります。協議離縁は当事者の同意と届出によって成立します。当事者の協議によって同意が得られない場合、裁判上の離縁の方式により審理が進められます。裁判上の離縁の原因には、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他縁組を継続しがたい重大な事由の3つがあります。ただ、いきなり訴訟に発展するわけではなく、離婚と同様、まず家庭裁判所に調停を申し立てることになります。そして調停が不調の時、あらためて家庭裁判所に離縁の訴えを申し立てることになります。

 当事者の一方が死亡した場合どうなるのかというと、民法は当然に縁組が解消し離縁が成立するとは考えていません。残された他方の当事者が離縁を希望する場合は、家庭裁判所の許可を得て役所に届け出ることによって初めて離縁が成立します。

 【縁組解消の効力】

 離縁が成立すると、養親と養子との親族関係が終了するとともに、養子・その配偶者およびその直系卑属(子・孫など)と養親およびその血族との親族関係も終了します。離縁によって養子の氏は縁組前のものに戻るのが原則です(復氏:ふくうじ)。ただし、夫婦養親の一方とだけ離縁した養子は復氏しません。また、縁組後7年を経過した後の離縁の場合、離縁後3か月以内の届け出により、離縁時の氏を名乗ることができます。離婚の場合は財産分与の規定がありますが、離縁の場合は財産分与の規定がありません。ただし解釈論として、養子として養親の財産形成に寄与した場合、離縁時にその財産分与を認めない合理的な理由はなく、まして離縁により相続権も否定されるため不合理であるとの学説が有力説としてあります。最高裁判例はこれを認めていません。

 

 

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